こんにちは、ANYCULのSEOコンサルタントチームです。

今回は、プラットフォーム事業のSEOというテーマでお話をします。

プラットフォーム(以下略:PF)では、コンテンツやサービスを提供する側であるサプライヤー(Airbnbで言えば宿泊施設オーナー)、サービス受領者であるクライアント(Airbnbで言えば宿泊者)が存在し、三方良しの有用なサービスとなることを前提としてSEOを進めていく必要があります。

単にPFと言っても、基盤型、媒体型など多様ですが、今回は特にくらしのマーケットのような媒体型PFで採用できうる考え方について解説します。

PF事業では何のためにSEOに取り組むのか

PF事業におけるSEOの重要性

PFにとって自然検索からの流入は非常に重要です。PFが自然検索シェアを広げることは、一般的に下記のようなメリットがあります。

  1. 購買意欲の高いユーザーを獲得できる

  2. 購入型クエリのカバレッジを幅広く取れるため、直接的な顧客獲得に繋げやすく、認知獲得にも繋がる。(ユーザーID獲得型サイトの場合、購入型クエリの検索シェア増加は指名検索に繋がりやすい)

  3. クライアントの増加によりグロースモデルの下支えに繋がる。

グロースモデルと紐づいた戦略で事業成長を促進する

一般的に、PFにはサプライヤー、クライアントが相互に作用し成長するグロースモデルが存在します。

PF事業においては、SEOとプロダクト開発を完全に切り分けるのではなく、SEOをグロースモデルの中に組み込むことで、より効率的な事業成長をボトムから支えることが可能になります。

グロースドライバーの起点を作る

PFには、サービス毎にグロースモデルと密接に結びついたPF固有のグロースドライバー(事業スケールに繋がる要素または資金の投下箇所)が存在します。

SEOではそのグロースドライバーの起点を作っていきます。

例えば、グロースドライバーの起点となるユーザーセグメントに注力することで、ロイヤルティの高いユーザーを育てるきっかけ作りが可能です。

もちろんサービスによっては、セグメントを切って注力するのではなく、サービス全体でグロースドライバーの起点となるユーザーの獲得を目指す場合もあります。

「セグメントを切るのか、どのスコープで切るのか」は、サービスのユーザー特性や事業リソース、該当ジャンルのSEO難易度によって異なり、また事業フェーズによってNSM(North Star Metric)やグロースドライバーも異なるため、現状に合わせてSEOの役割を定義しておくことが重要です。

ネットワーク効果を下支えする

一般的にPFでは、「サービスの利用者が増えることで、サービスの価値が増大するネットワーク効果」という考え方があります。

ネットワーク効果は、主に下記のようなサイド間とサイド内の効果に分けられます。

  • サイド間ネットワーク効果:「サプライヤーを増やすことで供給量を増やすことで、それによりクライアント側の購入意向が高まる」など

  • サイド内ネットワーク効果:「サプライヤーを増やすことがサービスそのものの信用に繋がり、さらにサプライヤーが増加するなどといったサイド内ネットワーク効果」

ネットワーク効果をポジティブに発揮するためには、供給と需要のバランスを取ることが重要な要素の一つになります。「サービスの供給を確保にするためにサプライヤーを増やしても、クライアント獲得が追いついていないとサプライヤーの稼働が減ってしまう」といったような負の効果が生じることがあるからです。

このように、適切なグロースモデルを描けていても、どこかの糸が切れたり緩いままだとサプライヤーやクライアントのアクティビティは悪化してしまいます。

そこで、各ネットワーク内、ネットワーク間の糸が緩まないよう顧客獲得でサービスを支えるのがSEOの役割だと言えます

まずSEOに適したタイミングを見極める

SEOに適した事業フェーズとは

まず、PFはSEOに適したタイミングを見極めることが重要です。

以下の事業フェーズとSEOの相性を大まかにまとめた表です。

基本的には、ある程度のクライアント側ユーザーを獲得していてグロースドライバーも見つかっている時が、SEOに取り組むタイミングとして適していると言えるかもしれません。

別の視点で捉えれば、既に検索市場が存在していて、

・サプライヤー獲得が順調&十分なとき
・サプライヤーの稼働率が落ちている時(クライアントが足りていないとき)

がSEOに取り組むタイミングの目安になります。

また、現在では稀な例ではありますが、PMF前でも「デマンド側の検索市場は大きいが、サプライヤー側の稼働率が低くなり市場に歪みが生じているタイミング」であればSEOが一定の効果を発揮する時もあります。

特に~2010年代には比較的多くの市場カテゴリでこういった歪みが多く生じていましたが、現在ではあらゆるサービスが世の中に溢れかえって歪みが発生しにくくなっているため、こういったケースは少なくなっています。

大前提となるサイト全体のSEO

まず忘れてはいけないのが、サイト全体でのSEOです。Googleはサブドメイン(ホスト)単位でサイトを評価しています。

サービス内の体験最適化やその他細部のSEOを進めたとしてもサイト全体の評価を向上できていなければ、効果を最大化できません。

そのため必ず最低限、以下のような要素を管理する必要があります。

・カテゴリのドメイン振り分け(コンテンツ特性や検索エンジンのアルゴリズム特性に基づく)
・サイト(ホスト)全体のコンテンツ品質制御
・外部評価獲得

カテゴリのドメイン(ホスト)振り分け

まず、どのカテゴリをどのドメインで運用するのかを決定します。

考慮すべき要素は主に以下の項目です。

・ジャンル(サイト権威性の重要度)
・ジャンル(サイト関連性の重要度)
・ホストの強化リソース

例えば、YMYL(Your money your life)に属するカテゴリのコンテンツとYMYL外のコンテンツが入り混じっているサイトでは、割合にもよりますがYMYL範囲内のコンテンツがサイト全体の評価へと影響し、結果YMYL範囲外のコンテンツへ悪影響を及ぼす場合があります

他にも様々なケースが存在するため、検索エンジン(主にGoogle)のアルゴリズム特性を理解した上で、各カテゴリを本体ホスト、別のサブドメイン(ホスト)、あるいは別ドメインのいずれで運用するべきかをまず決定する必要があります。

ここを間違えると、数ヶ月~数年後に最大ポテンシャルから大きくビハインドしてしまうといったことにもなり得ます。

まずサイト権威性の重要度やサイト関連性の重要度と言った要素を基準に考えます。

ただ、進出ジャンルで専門的なサイトが表示される検索結果が多いからといってドメインを独立させればいいとか単純な話ではありません。競合が専門サイトだから評価されていると思っていても、実は単純にサイト評価が高いため検索シェアを取っているというケースも多々あります。(これはいわゆるSEOツールで見られるようなドメインランク等の数値では判断ができません)

またGoogeはサブドメイン(ホスト)単位でサイトを評価する機能を持っています。つまり、複数ドメインやホストでの運用を行なった場合、それぞれでブランディングや宣伝を通じたサイト評価獲得が必要です。

特に「難易度が高いジャンル」ではそのサイトのブランドを育てるリソースが十分で無ければ、ほとんど流入を獲得できずに終わるケースもあります。

そのため、「それぞれのホストを強化するリソースを割くことができるか」と言った観点も十分に考慮すべきです。

サイト(ホスト)全体のコンテンツ品質制御

PFでは、カテゴリ、地域に向けたページやサプライヤー専用ページ等の大量ページが生成されます。

PFはテンプレートで様々なコンテンツの生成・変更が可能であるため、一つの変更がサイト全体の評価を変えてしまうこともあります。昨今のSEOではサイト全体の品質は重要な要素の一つであるため、ユーザーにとって価値の低いコンテンツが生まれないよう、慎重に変更を行う必要があります。

特にUGC(ユーザー投稿コンテンツ)が多数存在するケースでは注意が必要です。UGCではスパムコンテンツが生まれるケースもあるため、検索エンジン視点の品質管理の知識を持つ専門家がチームにいると安心です。

またUGCを大量に持つサイトであれば、ハック的な手法でトラフィック増加やCV獲得増加を行うことが可能です。しかしそれはあくまで「短期的には可能」という話で、ハック的な手法を行ってスパム判定を受けたりサイト全体の品質が下がれば、トラフィックが大きく減少してしまうこともあります。

さらに、そういったハック的な手法で流入を獲得してしまったサイトは多くの場合、既に獲得しているトラフィックやコンバージョンを「負の遺産として捨てる決断」が出来なくなり、低品質コンテンツをサイトに残し続ける判断をしてしまいがちです。その結果、長期間下落を免れることができないという負のスパイラルから抜け出すことが難しくなります。

外部評価獲得

外部リンク獲得の本質

外部評価は主に外部リンクの話になります。

ひと昔の時代背景からハックのように捉えられることが多い外部リンクですが、外部リンク獲得の本質は「実際の社会的信頼値」と「Web上でGoogleが認識できる社会的信頼の推測値」の差分を埋めることだと筆者は考えています。

PF事業においては、この外部リンクの重要部分を形成するのは基本的にステークホルダーです。筆者はステークホルダーを次のように2つに分けて定義しています。

  • 直接的ステークホルダー:サプライヤー、クライアントなどサービスに深く関わる人(例えばレシピサイトなら、レシピを載せる人と見る人)

  • 間接的ステークホルダー:今はサービスに深く関わっていないが、間接的に利益を受けるか影響を受ける可能性がある個人または事業体(例えば、レシピサイトなら食品メーカー等)

このステークホルダーのうち、「誰からの信頼値がGoogleに認識されていないのか」を確認し、適切なリンク獲得を行うことが重要になります。

まずは競合分析から

市場に類似サービスが存在する場合は、そのサービスの成長とリンク構築がどう紐づいているのかを徹底的に洗い出すことが重要です。(これにより自社サービスと競合サービス社会的な評価にどのような差があるのかを確認することもできます。)

その上で、競合のリンク獲得手段が自社で採用できるものなのか、完全に踏襲できない場合はどこまで踏襲可能なのかを見極めます。取れる選択肢は、ユーザーの類似度やエンゲージメントの違い、サプライヤーやクライアントとのリレーション深度によっても異なってくるため、自社サービスならではの方向性を考えることが必要です。

外部リンク獲得を事業展開のアイデアにも繋げる

ちなみに、このようなリンク獲得思考は時に事業施策アイデアにもつながります。

例えばレシピサイトの場合、二次ステークホルダーである食品メーカーと関係を築き、その食品メーカーの製品を使ったアイデアレシピを提供することで、サービス内ユーザーとメーカー双方に利益をもたらす構造を作ることができます

このように、外部リンク獲得をGoogleの評価を高めるだけの手段としてだけでなく、事業を前に進めるための手段としても活用できれば、副次的な効果も踏まえた効果的なリンク獲得を実現できることがあります。

戦略的なクエリポートフォリオ計画

サイト全体でのSEOを行いつつ、同時にセグメント毎の戦略構築を行います。

まずPFのSEOにとって大きな柱となるのが、グロース計画に紐づいたクエリポートフォリオ計画です。

簡潔に言えばユーザータイプをエリア、興味カテゴリ、年齢やユーザーの状態、toB事業なら事業規模などをセグメンテーションすることで、自社に合ったユーザーへのリーチ目指すために、「適切なタイミングで適切なキーワードを選定すること」を指します。

クエリポートフォリオの組み方は様々ありますが、今回取り上げるのは以下のようなクエリポートフォリオ戦略の考え方です。

  • 地域クエリの戦略的限定

  • カテゴリの戦略的限定

  • LTV、売上創出効率を意識したセグメント選定

地域クエリの戦略的限定

地域クエリを限定的にすることで、SEOでの成長を早めることができる場合があります。この戦略は、特に特定カテゴリのPMF後グロースフェーズ(サプライヤーは増え始めたが、まだクライアントが足りていないフェーズ)に有効となり得ます。

ポイントは、ネットワーク効果です。

巨大な民泊サービスのAirbnbはサービスの初期フェーズで地域を限定して展開することにより、よりスピーディなサプライヤーコミュニティの構築を実現したという話は有名です。

考え方はそれと近いもので、Airbnbのように「利用者がさらに別の機会で利用者を呼ぶなど地域内でのサイド内ネットワーク効果の大きいサービス」の場合、地域を限定したクエリポートフォリオ戦略が特に有効になります。

サイド内ネットワーク効果とは、PFのプレイヤー(サプライヤー、クライアント)の片方のサイド内で発生するネットワーク効果です。

近年では、GoogleのSEOにおいて「情報網羅性」という言葉が独り歩きし、全国的な情報など情報をより包括的に含むサイトが優勢だと考えられている節もありますが、実態としてはそうとも言えないケースも多々あります。 地域クエリに絞った戦術であれば、むしろ限定した方が、情報の具体性と量的な面で有利に働くこともあるため、規模が競合に劣る段階では有効になり得ます。

一方、他のGoogleアルゴリズムという点で見ると、サービス(サイト)の規模が大きくなればなるほど、サイト全体での影響要素が多くなってくるため、地域限定戦略の効果が小さくなることもあります。

規模を拡大していくだけでなく、サイト単位の評価を維持・向上するための手段も常に考えておくことは必須になります。

カテゴリの戦略的限定

複数カテゴリを持つサイトの場合、一部カテゴリに限定して施策を進めることも効果的になることがあります。

ステップはこのようなイメージです。

  1. ネットワーク効果が高いカテゴリを選択

  2. 検索ボリュームがあり、競合性の低いクエリを選定

  3. さらに供給が足りていないクエリ範囲を選定

例えば、あるイベントサイトでは「イベント参加者からイベント主催者への転換」がグロースドライバーだとわかり、イベント主催者への転換が起こりやすい特定カテゴリのイベント参加者の集客を行うことにより、コミュニティ拡大が加速しました。

またグロース中の飲食店検索サービスなどで、カテゴリ内(例えばイタリアンレストラン)の口コミが増えれば増えるほど、同カテゴリに興味のあるユーザーにとってサービス利用価値が高まる(カテゴリ内のサイド内ネットワーク効果が発生する)ため、こういったケースでも、カテゴリ毎の戦略は有効になります。

ネットワーク効果が見込めるカテゴリを選んだら、検索需要が存在し、競合性の低いクエリ、競合のコンテンツが足りていないクエリなど、供給が足りていないクエリ範囲を選定します。

その領域ですぐに「ビッグワードを取りに行こう」となってしまいがちですが、ビッグワードは、このような「カテゴリや地域毎の成長」に加えて「サイト全体のSEO」が成功して初めて目指せるものです。そのためビッグワードは短期目標ではなく、最終的な目的と置く方が通常は適切で、あくまでサービスの検索シェアと成長曲線を意識することが重要です。

この話は、SEOのみに特化されているSEO専門家にとってはイメージが湧きづらい部分があるかもしれません。しかし、サービスのグロースと合わせてSEOを行っていくとこういった側面を考慮すべきタイミングが出てきます。

LTV、売上創出効率を意識したセグメント選定

カテゴリや地域に加えて売上創出効率も考慮することで、より大きな相乗効果を生み出すことが可能になります。最低限抑えるべきは以下です。

  • 単価

  • 継続率(顧客単位購入継続率、シングルカテゴリユースレート、クロスユースレート=カテゴリ間転換率)

  • PF事業特有のネットワーク効果による売上創出予測

これらを加味して注力セグメントとクエリポートフォリオを決定します。

そもそもクエリポートフォリオをどの程度限定するべきなのかも考える

クエリ範囲を限定するべきなのか、どの程度限定するべきなのかは、事業フェーズであったり、リソース状況に頻繁に依存します。

サイト全体的にサプライヤーを十分に獲得済みである場合や、大企業で全てのカテゴリの集客活動を同時にできるようなリソース状況を持つ場合においては、特にクエリ範囲を限定するよりもサイト全体のSEOを考えた方が良いかもしれません。

本当に多様なケースがあるため、この時はこうだと一言で表すのは難しいですが、現状のサービス状況を踏まえて事業戦略を決定できる人とSEOの知識がある人がいれば、大凡適切な判断ができるかと思います。

SEOを単なるCV獲得の道具と捉えない

マーケティングのすべての施策はグロースモデルに繋がる要素になり得ます。

マーケティング責任者クラスの方は当たり前のように持っているこのような視点が、SEOでは別物として捉えられることが多い印象です。

ですが、オーガニックチャネルからのユーザーがサービスの利用者になることを考えれば、SEOも当然グロースモデルを踏まえて進める必要があることは明らかです。

サービスが一定の規模まで拡大すると、単にユーザー数やCV数、単価が目の前の指標になり、グロースモデルの画と用途が曖昧になってしまいがちですが、個別の指標のみを追ってしまうとむしろ事業拡大にとっては非効率になってしまいます。

一定の規模に拡大した段階でも、サービス内での需給バランスは常に変化しています。そのため、どこの糸が緩んでいるのかを常に「把握」し、「理解」し、戦略に落とし込むことが重要です。

コンテンツ戦略とデータ収集

適切なクエリポートフォリオを設定できたら、「サービスの顔」となるコンテンツを設計します。

SEOではもちろんページ評価は重要ですので、まず検索で優位を取るためにページのコンテンツ評価が競合より優れている状態を目指します。

そしてPFにおけるページのコンテンツは基本的に「サプライヤーが提供するコンテンツ」ですので、どのフェーズのサービスでも、「いかに競合より良質なデータをサプライヤーから収集するか」は重要になります。

※サプライヤーとクライアントが重複するケースもありますが、あるユーザーがサプライヤーの役割を果たしているそのタイミングではそのユーザーをサプライヤーと看做します。

コンテンツ戦略とデータ構築

サプライヤーから収集するべきデータは、カバーすべきクエリの検索意図に依存します。検索意図を踏まえて、コンテンツ化したい情報を以下に分類します。

  • POP(Points of Parity):同質化ポイント=検索結果へ表出するために、最低限必要な情報

  • POF(Points of Failure):脱落ポイント=検索結果へ表出するために邪魔になる情報

  • POD(Points of Difference):差別化ポイント=競合には無いが、ユーザーにとって有益な情報

POF(脱落ポイント)は、現在既にコンテンツがあり、検索意図から外れていて評価を下げている要素と考えるとわかりやすいかもしれません。

「POFは確実に排除した上で、POPを最低限カバーし、その上で他社と差別化を図れるコンテンツ(POD)が何かを見極めていく。」これが基本的なコンテンツ設計の概念です。

但し、気をつけたいのはPFの場合「コンテンツ」は「サービス」そのものだと言うことです。競合と情報の差別化を図るだけでなく、ユーザーがコンテンツで自社のUSPを享受できる状態を目指すべきです。

つまり、

  • 競合よりもユーザーにとって便益のある情報

  • ユーザーへのUSP提供を実現するUI

の両立につながるデータこそが、PFにとっての収集を優先すべきデータとなります。

現在サービスがカテゴリ特化型の戦略を取っているか、カテゴリ横断型の戦略を取っているで、どの範囲でコンテンツを考え方は異なりますが、どちらにしてもまず「どのようなニーズに対応するのかを決めることが重要です。

例えば媒介型PFの場合、POPやPODでは以下のような情報が考えられます。

  • 口コミや事例など体験ベースの情報(POP)

  • PF主体の評価や基礎情報(POP)

  • ユニークな体験を創出するUI(POD)

サプライヤーからのデータ収集

サプライヤーからデータを集める(データ入力を依頼する)場合、彼らがデータ追加をするとどんなメリットがあるのかを示す必要があります。

例えば、BtoCのサービスであれば、

  • サイト内SEOの優位権

  • 一覧ページや検索結果におけるインプレッション向上

  • 購入率の上昇

などが考えられますし、サプライヤー当たりの稼働率が少ないCtoCサービスの場合、

  • いいね数増加

  • サービス内での評価ランク向上

といったように、サプライヤーの何らかの権威性を高める要素が購入率よりも優先されるケースもあります。

これらはサービスの特性によって大きく異なってくる部分ですので、PFとサプライヤー両者良しの仕組みを考えます。

既存ユーザーと新規ユーザーでは便益が変わる

PFがコンテンツ(UIやUX)を考える際でひとつ重要となるのが、既存ユーザーと新規ユーザーそれぞれにとって便益の違いです。

人が「交際をはじめる理由」と「交際を続ける理由」が異なるように、顧客もフェーズによって便益の違いが生まれます。便益が違うということはUIや機能を既存ユーザーと新規ユーザーで分ける必要性が少なからず出てきます。

詳細はまた別の機会にお話しできればと思いますが、我々がコンサルティングを行う中でよく見かけるのは下記のようなケースです。

  • ロイヤルユーザーの使用率が高い機能なのに、新規ユーザーには提供されていない

  • サービス登録の起点分析や転換点分析を行なっておらず、新規ユーザーに全ての機能を見せてしまっている

  • 新規ユーザーに提供する便益(機能)をたった一つに絞ってしまっている

こういった現時点の問題を洗い出し、新規ユーザーは「何を魅力に感じるのか」を明らかにしていくことで、無駄なく充実したコンテンツを提供することにつながり、SEOの成功、SEO効果の最大化につながっていきます。

「ユーザー獲得後はSEOとは別」ではない

SEOの成果を最大化するためには、CRMなどユーザー獲得後の体験最適化も非常に重要です。

PFでは通常「会員登録→初回購入」ステップがあり、まずこの初回購入率に目を向けることは非常に重要です。登録したユーザーがザルからすり抜けるように零れ落ちていく状態では、SEOでの成果を最大化できないからです。

初回購入がないことには、継続利用ももちろん期待できず、指名検索にもつながらず、口コミ拡散にもつながらない、そんな状態では長期的にサイトが評価を向上できないため、結局数年後にはSEOで競合に負けてしまうのです。

SEOの成果を最大化するという意味では、まず登録後ユーザーの離脱を防ぐことを考えるところから始めるのが基本です。

一般的にPFでは初回購入体験がその後のユーザーアクティビティに大きな影響を持ちますから、その点を踏まえてもまず重要視したいポイントです。

例えば、あるPFでは「登録済みユーザーの初回購入率が低い原因」について、サイド内ネットワーク効果の逓減(サプライヤーが増えすぎるとサプライヤーの稼働が落ちるなど、一定のラインからサイト内ネットワーク効果が落ちる現象)に注目して調査を行いました。

結果、「サプライヤー稼働の集中が起こっていて、登録済みクライアントが希望するサプライヤーからサービスを享受しにくくなっている状況」が生まれていることがわかりました。

さらに詳しく調査すると、「UIの性質上表示回数が多く発見されやすいサプライヤーの稼働率が非常に高く、クライアントとサプライヤーが効率的にマッチしていない(漏れが発生している)」ことが明らかになったため、対応策としてサイト内コンテンツ配信機能の改善・強化、UIの追加を行ったところ、初回購入率を高めることができました。

このケースでは、「会員登録後のユーザーの動き」は「会員登録前にどんな体験をしたか(最初にどのサプライヤーと出会っていたか)」も深く関連していたということになります。

このサービスは、SEOを「順位をあげるための施策」と捉えてしまい、SEO施策とその後のCRM施策が分離してしまっていたため、本来の目的であるサービス成長の最大化を実現できる状態ではなかったことが最大の課題であったと捉えています。

多様な考え方があると思いますが、筆者は「CRMとSEOを全く別物と捉えるべきではない」と考えています。SEOはサービスの入り口に過ぎないかもしれませんが、その入り口はサービス内の体験と通じているものであることを忘れないことで見えてくることもあるからです。

リテンションを考慮して、SEO施策を考える

また、SEOの施策を考える際には、既存ユーザーのリテンションを考慮する必要があります。

サイト内の各機能やサービスを

  • 誰のための、何の機能なのか

を定量面と定性面の両方で定義することで、新規ユーザーにとって重要な機能(SEOにも影響する)を実装するときに、既存ユーザーのリテンション悪化を避けることができます。

例えばよくあるCGM型サイトのSEO施策として、

  • 「UGC(ユーザー投稿コンテンツ)の検索エンジンフレンドリー化」

というものがあります。

これは、ユーザーによるタイトルの付け方やコンテンツの作り方を検索エンジンフレンドリーなものにできるよう投稿画面でユーザーに促す施策です。

これはPFにおいて定番施策ではあるものの、すべてのPFにおいてこの策を施せば良いわけではありません。

SEOで最適化できても、登録済みユーザーにとっては魅力的なコンテンツが減ってしまいサイト内体験が損なわれたり、またこれによって多くのコンテンツが似通ってしまうようなことがあれば、クライアント側の体験も損なわれるため、まず優先すべきはそもそもUGCの最適化ではないかもしれません。

このように優先度を決める際に考えるべき点はいくつもあります。

施策の副次的な影響を考慮せずに、1ヶ月もかけて実装し、リリースしたは良いものの他の部分でマイナス影響が出てしまう。そんなケースはぜひ避けたいところです。

余談

代表的なコンテンツPFとして知られるnoteは、2021年にPF内ユーザー向けにタイトルの付け方に関する記事をリリースしました。

これはSEO施策として行われたものではないと思いますが、上記の定番施策に似て、コンテンツ品質改善により、サイト内UXを改善し、SEO面でもUGCを最適化する施策です。

ではなぜこの施策は、noteが一般的に知られるようになってから何年も後に行われたのでしょうか。

本当のところはわかりませんが、グロース中のnoteにとって優先すべきは、「GoogleのSEOに適したコンテンツ作成をユーザーに促すこと」ではなく、「グロースモデルに基づいてコミュニティを拡大すること」だったからなのではないかと考えています。

事業成長を考え、適切なSEOライフを!

この記事での話をとてもざっくりまとめると、PFがSEOを行う際には

  • SEOに取り組むタイミングを見極めること(カテゴリや地域によっても違う)

  • グロースモデルを意識し、一貫させること

がとても重要ですよという話でした。

SEOの目的はサービスの成長であることを忘れず、グロースモデルに基づいた適切な施策を適切なタイミングで行うこと、それがPFに求められるSEOだと考えています。